§ 機関投資家ベンチマーク · 01
商業用不動産のエグジット・キャップ
エグジット・キャップは、機関投資家による商業用不動産の引受で最も重大な単一の前提です。残存価値を決定し、レバレッジ前IRRを左右し、初日に資本コストのハードルを越えるかを決めます。
概念フレームワーク
エグジット・キャップは売却時点で見込まれる安定化キャップレートです。将来のNOIと売却仮定値の関係を示し(エグジット価値 = N年目NOI ÷ エグジット・キャップ)、洗練された引受人は入口キャップより高いスプレッド・トゥ・エントリーを適用し、期間リスク・Capex・将来の不確実な資本コストを織り込みます。
戦略別の3レジーム
- コア/コアプラス: ゲートウェイ市場の安定化物件は通常、入口キャップ+25〜+50bpsのエグジット・キャップを採用し、サイクルの保守性を反映します。
- バリューアッド: リポジショニング戦略は+50〜+100bpsのスプレッドを正当化し、安定化までの執行リスクを反映します。
- オポチュニスティック: 開発・ディストレス戦略は+100〜+200bpsの余裕度と明示的な残存感応度表を用いるのが一般的です。
国境を跨ぐキャリブレーション
エグジット・キャップを地理的に持ち込む際は調整が不可欠です。流動性の厚み、通貨ヘッジコスト、国債利回り曲線、賃貸借法制が機関ビッドを大きく変えます。同等品質の物流資産でも、北米・西欧・GCC・アジア太平洋で利回り水準は大きく異なります(資本の供給量に依存)。
感応度の規律
投資委員会は、最低±100bpsの帯域で25bps刻みのエグジット・キャップ感応度(IRR・EM影響を定量化)を求めます。25bps以内でしか成立しない案件は不動産引受というより金利賭けです。